松山泰男(1974 早大院博修了,1978 スタンフォード大院博士修了)は,神経細胞における確率的パルス密度変調を研究して早大院博士を修了した後,日本学術振興会による日米交換研究員としてスタンフォード大学大学院に派遣され,情報システム研究所において確率過程間の距離に関する理論とベクトル量子化アルゴリズムの開発に携わった(1974-78:うち77-78は同研究所助手).

帰国後,早大理工学研究所嘱託,茨城大学教養部講師・助教授,工学部情報工学科助教授・教授(1978-79,79-85,85-96)として高能率情報圧縮を実現し(1989電気通信普及財団テレコムシステム技術賞奨励賞),さらにこの問題をコンピュータによる学習と自己組織化アルゴリズムの問題へと発展させた.この手法は,複雑な組合せ最適化のように異質な問題にも適用可能であり,良好な近似解を高速に得ることを可能にした(1992電子情報通信学会論文賞).

1996年に早大に着任後,自己組織化,ベクトル量子化,知的マルチメディア情報処理を内包する多重降下競合学習アルゴリズムを著して, IEEE Fellow Award(1998)や IEEE Transactions on Neural Networks Outstanding Paper Award(2001)のような国際賞を受賞した.

その後,従来のEMアルゴリズム(期待値最大化法)を特例として含むα-EMアルゴリズムを与えて電気通信普及財団テレコムシステム技術賞本賞を受賞し(2001),さらにこの手法を手がかりにして凸ダイバージェンスICA(独立成分分析法)を与え(2001),その高速性に基づいて人脳のfMRI解析(磁気共鳴機能画像)を行って,動画像注視に対応する視覚部位の特定に成功した.

2002年には,情報圧縮と学習アルゴリズムに関する一連の成果に対して,電子情報通信学会からフェローの称号を与えられている.

計算知能と学習アルゴリズムの問題は,生体には容易に実行できるがコンピュータには困難な問題として,優れた情報コンテンツの生成や高級なヒューマンインターフェースの実現にとって必須の事項であり,エージェントやネットワーク技術とも深く関連している.これらの研究においては,VLSI化も目的の一つとして設定されている.

2002年度から2007年度にかけて,21世紀COEプログラムにおけるProductive ICT Academiaの主要メンバーとして活動した.

2003年度からは,凸ダイバージェンスICAをバイオインフォマティックスに適用し,原核生物および真核生物のDNA配列中に存在する保存領域の予測を行っている.

2004年には,計算知能アルゴリズムとネットワーク技術をヒューマノイドに適用し,APNNA Best Paper Award for Application Oriented Researchを受賞している.

2006年には,新たなターボ符号用インターリーバの発明により,LSI設計知能財産賞を受賞した.

2008年度から2012年度は,Global COEプログラムにおけるAmbient SoC教育研究の国際拠点の主要メンバーとして活動した.

この間,2008年には,非侵襲計測による脳情報と身体動作を操作情報として用いて,二足歩行ヒューマノイドを操作する方式を実現した.そして2009 年には,視覚野における神経スパイク列をヒューマノイド動作に変換するperceptual transducerを実現した.

2011年には, α-EMアルゴリズムからα-HMMアルゴリズムを導出することに成功した. また,RapidICA(FastICAをしのぐ高速な独立成分分析アルゴリズム)を作り上げた.